大舞台でこそ大胆に!!

――相応しいメンタルは、相応しい準備の上にある

1.大舞台で力が出ないという現実

大舞台で力が発揮できない。
本番になると身体が固まり、普段ならしない判断をしてしまう。
自由に振る舞いたいのに、どこかブレーキがかかる。

これまで多くの現場を見てきて、そうした選手に何度も出会ってきました。
そして同時に、こんな問いをよく受けます。

「どうしたら大舞台で力を出せるようになりますか?」

この問いの裏側には、
「メンタルが弱いからだろうか」
「気持ちの問題なのだろうか」
という不安が隠れています。

けれど私は、この問いに対して
単純に「メンタルを強くしましょう」とは答えません。


2.「メンタル」という言葉への違和感

私はスポーツメンタルコーチですが、
正直に言うと、日常で「メンタル」という感覚をあまり持ち得ません。

気持ちを強くする。
弱さを克服する。
本番で気合を入れる。

そうした発想は、一時的に効くことはあっても、
大舞台で安定して力を発揮する土台にはなりにくいからです。

問題は「メンタルが弱い」ことではありません。
問題は、自分の思考や感情と、どう関わっているかです。


3.How to ではなく、意識の変容

大舞台で大胆になれない理由は、
技術や準備が足りないからではないことがほとんどです。

むしろ多いのは、

・結果を取りにいこうとする
・評価を拾いにいこうとする
・失敗を避けにいこうとする

この“意識の向き”が、
身体の自由さや発想の幅を奪ってしまっているケースです。

思考そのものを変えようとしても、
思考は次々に湧いてきます。
思考で思考を抑え込むことはできません。

必要なのは、
思考に対する「捉え方」が変わること
ここに、意識の変容があります。


4.試合を左右する「あっと驚く発想」

試合の流れを変えるプレーは、
事前に考え抜いた正解から生まれるとは限りません。

チームで共有したゲームプランや役割があっても、
肝心な場面では、
その場で生まれる判断や発想が
勝敗を分けることがあります。

むしろ大舞台ほど、
予想外の出来事が連続します。

その瞬間に生まれる
「あ、これだ」
という発想や判断は、
気合や根性から出てくるものではありません。

日常から積み重ねてきた準備と、
自分の内側から自然に立ち上がる意志、
そして自由な意識状態が重なったとき、
それは無理なく現れてきます。


5.内発的動機 ― 好きだからやる、やりたいからやる

ここで重要になるのが、内発的動機です。

好きだからやる。
やりたいからやる。
そこに、理由や定義づけはいりません。

「勝つため」
「認められるため」
「期待に応えるため」

これらがすべて悪いわけではありません。
けれど、それが前面に出た瞬間、
人は自由さを失っていきます。

一方で、
気づいたらやっている。
気づいたら本気になっている。

そんな状態のとき、
人は自然に大胆になります。


6.目標に固執しないという態度

ここで誤解されやすい点があります。

目の前の成功を拾わないことと、
目の前のことを丁寧にやらないことは、
まったく意味が違います。

目標に固執することは、
未来に縛られることです。

一方、リトルステップとは、
「今ここ」に丁寧であること。

結果を追いかけるのではなく、
今の一球、一動作、一判断に集中する。
この態度が、結果として大舞台での安定感を生みます。


7.人生という文脈で競技を見る

競技は、人生のすべてではありません。
人生という壮大な流れの中の、一部です。

けれど、その一部の刹那に、
本気で全力を注ぐ価値がある。

ただし、
「本気になること」
「全力を出すこと」
それ自体を目的にしてしまうと、人は苦しくなります。

やりたいからやる。
好きだから向き合う。
その延長線上に、いつのまにか本気や全力がある。


8.ハードワークは目的ではなく、現象

ハードワークをしようとしている人よりも、
好奇心のままに没頭している人の方が、
結果としてハードワークになっています。

努力しようとして努力しているのではなく、
後から見たら「努力」に見えるだけ。

大胆さとは、
無理に作るものではありません。
内発性と自由さが生み出す、自然な状態です。


9.スポーツメンタルコーチングが扱うもの

スポーツメンタルコーチングは、
気持ちを奮い立たせるためのものではありません。

・意識の向き
・浮かんでくる考えとの距離感
・自分との対話の質

これらとどう在るかを扱うプロセスです。

相応しいメンタルは、
相応しい準備の上にあります。


10.大舞台でこそ大胆になるために

大舞台で大胆な人は、
特別な才能を持っているわけではありません。

日常の中で、
どう自分と向き合ってきたか。
どう競技と関わってきたか。

その積み重ねが、
本番の一瞬に、そのまま現れているだけです。

これは、
私のスポーツメンタルコーチングにおける
5つの柱の一つでもあります。

大舞台でこそ大胆に。
それは、偶然ではなく、
意識と在り方の必然です。


もし、この文章を読んで
どこか引っかかるものがあるなら、
それは、あなた自身の経験かもしれません。


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福岡正一が大切にしている、5つの視点
― 競技・指導・人生に共通する在り方 ―

結果や正解を求める前に、
人がどこに立ち、どう在るか。
そのことを、5つの視点から綴っています。

これらは、順番に読む必要はありません。
今、気になるものから辿ってみてください。

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