指導者の実存的変容

行動のマネジメントから、存在のマネジメントへ

時代は変われど、
深層心理も、勝負の厳しさも、変わらない。

環境や方法論は進化しても、
人が揺れ、迷い、賭ける場面の本質は変わらない。


気づきこそが、成長の始まりである。

それは、
誰かに与えられるものではなく、
選手の内側で、ある瞬間に立ち上がるものだ。

指導とは、
何かを教えることでも、
正しい行動を身につけさせることでもない。


見守るということ

ここで言う「見守る」とは、
何もしないことではない。

放任でもない。
無関心でもない。

指導者がやっているのは、
気づきが起こり得る空間をつくることだ。

前に出しすぎない。
先回りしない。
答えを置きすぎない。

ただ、
そこに在る。


それで、やってみる

多くの指導は、
「こうしなさい」
「こう考えなさい」
から始まる。

だが、
気づきは説明からは生まれない。

それで、やってみる。

うまくいくこともあれば、
いかないこともある。

その体験の中からしか、
本当の気づきは立ち上がらない。


受動的になると、手持ち無沙汰になる

受動的になると、
指導者は手持ち無沙汰になる。

声をかけたくなる。
口を出したくなる。
何かしていないと、
指導していない気がしてくる。

だが、その衝動の正体は、
多くの場合、
指導者自身の不安である。


外からの圧と、自分の在り方

その手持ち無沙汰の時間に、
外からの圧が重なる。

チーム組織。
世論やスポンサー。
学園や保護者。

心が揺れない指導者はいない。

その揺れの中で、
つい手を出してしまうこともある。

それは弱さではない。
守ろうとした結果だ。


方向性とエネルギーについて

みんなの方向性とエネルギーが一致して、
いい結果が出たのは「現象」である。

後からそう見えるだけで、
それを目的にして起こせるものではない。

みんなで力を意図的に合わせようとした瞬間、
それはもうコントロールになる。

本物の一致は、
揃えにいかなくても、
結果として起こってしまう。


感情について

「感情を出すな」
「怒るな」

そう言われることは多い。

だが、
感情そのものに、いいも悪いもない。

怒りも、苛立ちも、焦りも、
どの人間にもある。

感情は、コントロールできない。
起こるものは起こる。

現象である。


だからこそ、
大切なのは、感情を消すことではない。

感情を受け止めて、
何もせず、
「あるものはある」と感じるだけ。

現場では、
その感情も自分らしさであり、
怒りは、愛の現れでもある。

その愛を、
相手を動かすための力として
使おうとすることから、降りる。


七つの「しない」

行動しない。
考えない。
判断しない。
分析しない。
コントロールしない。
装わない。
格好をつけない。

これは、
結果として起こるものではない。

この在り方で、やってみる。

それだけだ。


指導の時間も、人生の一部

指導の時間も、人生の一部である。

結果のために
自分をねじ曲げるのか。

それとも、
自分の思い通りにやるのか。

伝統をそのまま引き継ぐのか。
それとも、
自分の在り方で更新するのか。


実存的変容について

指導者の実存的変容は、
目指すものではない。

理想像を掲げて
そこに近づこうとする対象ではない。

目指した瞬間に、
それはもう実存ではなくなる。


実存的変容とは、
到達点でも、完成形でもない。

この在り方で現場に立ち続けた結果として、
あとから立ち現れている成長の現象である。

振り返ったときに、
「ああ、変わっていた」と気づく。


変わろうとしないから、変わる。
正しくあろうとしないから、変容が起こる。

在り方をごまかさなくなった結果、
変わってしまう。


指導者の実存的変容とは、
目標でも、手段でもない。

魂の声と一致したときに、
自然と立ち現れている成長の形
だ。


📩 無料メール講座のご案内
日常の中で、少し立ち止まる時間として
受け取っていただけたら嬉しいです。



福岡正一が大切にしている、5つの視点
― 競技・指導・人生に共通する在り方 ―

結果や正解を求める前に、
人がどこに立ち、どう在るか。
そのことを、5つの視点から綴っています。

これらは、順番に読む必要はありません。
今、気になるものから辿ってみてください。

関連記事

  1. 没頭する

  2. 素で生きる

  3. まだ見ぬ景色を共に探す

  4. 謙虚と遠慮

  5. 目標設定はする。

  6. すべてのプレイヤーにチャンスを

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。