プレッシャーとの向き合い方

― いざという時の、自分との対話 ―

「ここ一番」の場面で、体が一瞬止まる。
そんな経験、誰にでもあるはずです。

プレッシャーとは、何でしょう。

重圧でしょうか。

恐れでしょうか。


あるいは、言葉にならない何かでしょうか。

震えが来る人もいれば、
体が熱くなる人もいる。
呼吸が浅くなる人もいれば、
妙に静かになる人もいる。

その感じ方は、人それぞれです。

だから、
プレッシャーの意味を定義しようとしても、
十人十色でキリがありません。
正直なところ、
あまり意味のある作業でもないでしょう。


「プレッシャーに強いかどうか」とは、
結果を出せるかどうか、ではありません。

その瞬間に、
あたりまえのパフォーマンスができるか。

そしてそれが積み重なった先で、
+αのパフォーマンスに繋がるか。

私は、
そこに本質があると考えています。

もし、
プレッシャーの捉え方に対して
ほんの少しでも意識の変容が起きたなら。

その場面は、
あなたにとって
「苦しい時間」ではなく、
かけがえのない機会へと変わっていくでしょう。


一瞬感じる、
重圧に近いあの感覚。

それは、
あなたが競技に費やしてきた
思い、時間、プロセス――
そのすべてが詰まった反応です。

その瞬間が、
あなた自身が求め、
誰よりも大切にしてきた場面だからこそ、
体に起きる現象でもあります。

結果至上の教育の中で育ってきた
私たち日本人が
「弱い」とされがちな部分でもあるのかもしれません。

ただ、
それをそのまま背負い、
体が動かなくなり、
何もできずに終わってしまうのは、
やはり寂しい。


ここから先で扱うのは、
気持ちを切り替える方法ではありません。

自分を奮い立たせる言葉でもありません。

自分自身との対話。
自分への問いかけ。

それができるようになると、
プレッシャーは、
ハイパフォーマンスを
静かに後押ししてくれる存在へと変わっていきます。


プレッシャーに反応した時の、自分との対話

 
例えば、
勝敗を決めるPK。
フリースロー。
チャンスで回ってきた打席。

試合の流れを左右する場面が、
自分に巡ってきた時。

そんな瞬間に、
プレッシャーを「消そう」としなくていい。

むしろ、
こう語りかけてみてください。

「おう、きたか。」
「いらっしゃい。」

プレッシャーに向けて、
言葉を投げる。

僕の場合は、
有利でも不利でも関係なく、
「俺、持ってるな。」
と呟き、
ひとりニヤついています。

その瞬間、
プレッシャーは
重荷ではなく、
エネルギーへと変容しています。


内か、外か。あるいは両方か

 
プレッシャーを感じた時、
次にできることはシンプルです。

それが、
内的なものか。
外的なものか。
あるいは、その両方か。

自分に問いかけてみる。

これは、
自分の思い込みの中で起きているのか。
それとも、
体調、天気、観衆、環境から来ているのか。

そして、
「内からやな。」
「外からやな。」
と、ただ確認する。

それだけでいい。


コントロールできないものと、戦わない

 
場所。
環境。
移動。
天気。
気温。
慣習。
審判の判定。
相手。

これらは、
自分ではコントロールできません。

だから、
戦わない。

そんな時は、
「みんな一緒や。」
と自分に語りかけてみてください。

投手戦で、
試合が終盤に近づく。

肩が重くなり、
腕が触れなくなる感覚が
出てくることもあるでしょう。

その時も、
「相手も一緒や。」
と問いかけてみる。

圧倒的不利な展開。
心もとない野次。
思い通りにならない流れ。

それらに抗わず、
甘んじて受け入れる力。

それもまた、
あなたを助けてくれます。


選択と、対話

 
プレッシャーのかかる場面では、
当然、重要な選択を迫られます。

そんな時、
失敗したらどうか。
いいか悪いか。
快か不快か。

そうした基準ではなく、
プロセスに身を委ね、
あなたにとって、いい人生になる選択をする。

その積み重ねが、
結果的に
納得のいく結果に近づいていくのではないでしょうか。


ポジティブのルーティン化

 
どんな人でも、
ポジティブな言語とネガティブな言語、
その両方を
無意識、あるいは有意識に使っています。

ただし、
それらの言語が脳に及ぼす影響は、
さまざまな脳科学の研究でも示されています。

であれば、
ポジティブな言葉を
日常の中でルーティン化しておくことは、
ここまで述べてきた
「選択」を助けてくれるものになるでしょう。

あるアスリートは、
常にノートを持ち歩き、
日常で出てきた
ポジティブな言葉を
書き留めています。

また、
僕たちコーチ仲間の間では、
「けど…」
「でも…」
「難しい…」
「分からない…」
といった言葉が出たら、
相手に指摘し、
手首に巻いているストラップを
反対側に付け替える。

そんなことを、
楽しみながら行っています。


だから、
スポーツメンタルコーチが扱うのは、
技術でも、気合でもありません。

人が、
自分から離れてしまう瞬間に、
もう一度、自分に戻るための時間です。

プレッシャーの中で、
何者かになろうとしなくていい。
強く見せなくていい。
正しくあろうとしなくていい。

ただ、
素でいること。

自分の奥で、
小さく鳴っている
魂の声に気づくこと。

その声は、
結果や評価よりも先に、
「どう在りたいか」を知っています。

自分と対話できる人は、
プレッシャーに押し潰されません。

なぜなら、
戦う相手が
外ではなく、
内にもいないからです。

その状態で立つ一瞬こそが、
本当の意味での
ハイパフォーマンスなのだと、
私は思っています。


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福岡正一が大切にしている、5つの視点
― 競技・指導・人生に共通する在り方 ―

結果や正解を求める前に、
人がどこに立ち、どう在るか。
そのことを、5つの視点から綴っています。

これらは、順番に読む必要はありません。
今、気になるものから辿ってみてください。

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