「綺麗な言葉、耳当たりのいい言葉だけを使いなさい」
「怒ったらダメ、傷つけたらダメ」
そう教えられることもあります。
けれど、人は美しいものを愛する、生々しい生き物でもあると、僕は感じています。
時代が変わっても、人の深層心理や勝負の厳しさは変わりません。
プロスポーツや社会人のチームでは、10代と40代の選手が同じピッチに立つこともあります。
年上だから言いにくい。
年下にも気を使って言いにくい。
年齢差を意識するあまり、率直に思い浮かんだことを飲み込んでしまうこともあるでしょう。
そうなると戦える状態ではありません。
ポジティブな問いかけで心を豊かにしていくことと、ネガティブなことを伝えないことは、まったく別の話です。
あえて言いにくいことを言うのではなく、率直に思い浮かんだことは、快・不快にかかわらず伝える。
ネガティブなことを伝えるのが目的ではありません。たまたま浮かんだ気づきが、たまたまネガティブだったというだけです。
あくまで粗探しではなく、浮かんだことを、浮かんだ瞬間に実直に伝える。
いま、伝えられていないことが悪いのではありません。コミュニケーションの壁に気づけたこと自体が、成長のチャンスです。
こうした積み重ねが、入賞するかしないか、ベスト8かベスト4か、優勝か準優勝か、金メダルか銀メダルか。その差になっていきます。
現役をある程度長く全うしたとしても、心の未完了は残ります。
トマス・レナードなどは、自分のことについては「妥協」、周囲については「未完了」と唱えています。
あの時伝えたかったことは、今、同じ意味では伝えられません。
普段は優しいことばかり言って、いざクビになったらそっぽを向くより、
「やり切ったね」
と見送れる関係でありたい。
今、あなたの脳裏に浮かんだその思いを伝えられた時、同じ方向を向くという現象が起こり始めます。



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