ネガティブを人生の真ん中に置かない


コーチングを受けてくださる人、ワークショップに参加してくださる人。

また、僕自身も10年以上マイコーチをつけていますし、さまざまな学びを続けている一人の参加者でもあります。

そんな中で、これまでたくさん出会ってきたのが、「ポジティブでなきゃいけない」ということに苦しんでいる人たちです。

ポジティブでなきゃいけない

僕は、コーチングの世界が好む「外側」ではなく、人の「内側」を取り扱うコーチです。

だからこそ、ネガティブな感情をなくしたり、無理にポジティブへ変換したりすることを、それほど大切にはしていません。

むしろ、ポジティブかネガティブかに敏感になりすぎることで、本来向き合いたかった競技や目標よりも、

「ポジティブでいなければいけない」

ということと戦い続け、疲弊している人をたくさん見てきました。

誰にでも、ポジティブとネガティブの両方があります。

生物学的に、僕たち人間はポジティブだけでは生きられません。

当然、僕がスポーツメンタルの中で多く説いている古い脳(大脳旧皮質)だけでも生きてはいけません。

日本人の強みでもある危機管理については、新しい脳(大脳新皮質)の力が発揮されています。

ポジティブもネガティブも〝あるものはある〟

そして、

ポジティブ=良い結果
ネガティブ=悪い結果

でもありません。

競技においては、ポジティブな選手が勇み足で負けることもあれば、ネガティブな感情や危機感が功を奏することもあります。

だから、ネガティブそのものを排除する必要はありません。

刹那刹那で自分がどう捉えているのか。

今は「ポジティブ」。
今は「ネガティブ」。

そこに良い悪いの評価を加えず、淡々と把握し、気づく。

この気づきがメンタルスキルになります。

〝あるものはある〟

試合中、その瞬間にあるポジティブもネガティブも、〝あるものはある〟。

ただそれだけのことです。

そのうえで、競技中に自分が今どのように捉えているのかに気づき、その捉え方がプレーを妨げているのであれば、より自分の力を発揮できる方向へ変換する。

「常にポジティブでいよう」

ということと、

「今の自分の捉え方に気づき、必要であれば変換する」

ということは、似ているようでまったく違います。

では、ポジティブへ変換する力は、どのように身につけていけばいいのでしょうか。

ポジティブアスキングという自分との対話

ポジティブな思考は心を軽やかにし、パフォーマンスにも良い影響を与えることは、さまざまな研究でも示されています。

しかしながら日本人は、変わらない思考を無理に変えようとして、

「ポジティブでいなきゃ」

と苦しむことがあります。

思考を変えようとしても、変えることはできません。

無理に思考を変えようとすると、意識が「どうやって変えるか」という方法論に向かい、同じメンタルサイクルを繰り返してしまいます。

そこで有用なのが、日頃から取り組む「ポジティブアスキング」のワークです。

これは一人でも、複数人でもできます。

下記は一つの例です。

例えば、ネガティブな言葉が脳裏をよぎったら、ミサンガを反対の手首に移す。

そこでポジティブになろうとするのではなく、

「あ、今ネガティブなことを考えたな」

と、まず気づく。

脳裏に浮かんだネガティブは、悪いことではありません。

ネガティブに気づいたら、そのワードやセリフをポジティブな問いかけへ無理にでも変換してあげる。

それを繰り返し、習慣にしていきます。

その気づきで意識が変わり、思考にも変化が起きていきます。

自己肯定感も、

「自己肯定感を上げよう」

と思ったからといって、簡単に上がるものではありません。

それよりも、自分の中に起きた自己否定に気づき、そこから自分への問いかけを変換していく。

ポジティブアスキングとは、自分へのポジティブな問いかけ。

僕はそれを、

「自分との対話能力」

と呼んでいます。

そして、この「自分との対話能力」を身につけることと、ネガティブな自分を否定することはまったく違います。

ネガティブを人生の真ん中に置かない

人は、美しいものを好む生々しい生き物です。

前向き、成長、感謝、謙虚、挑戦。

僕たちは、そういう美しい言葉を好みます。

その一方で、嫉妬もする。
怖くもなる。
逃げたくもなる。
腹も立つ。
意地悪になる。

これは誰もが持っている生々しさであり、品行方正ではなく、それが人間なのです。

本来、快か不快しかない感情に「良い」「悪い」という評価を加え、「悪い」と判断したものを排除し続ければ、そこには分離が生まれます。

そして、みんなが同じような平均点を目指す世界になっていく。

ネガティブにならないことを目指す必要はありません。

ネガティブがあることと、

ネガティブを人生の真ん中に置くことは違います。

ネガティブを見つけるたびに、

「変えなきゃ」
「ポジティブにならなきゃ」

と反応していたら、結局ずっとネガティブを監視しながら生きることになります。

ポジティブもある。
ネガティブもある。

〝あるものはある〟

そこに気づき、必要な時には変換しながら、自分が本当に向かいたかった競技や目標へ意識を戻していく。

ネガティブではなく、自分が大切にしたいものを人生の真ん中に置く。

僕は、そのためにメンタルスキルがあるのだと思っています。


そして、自分では気づきにくい「捉え方」や、繰り返している思考があります。

僕の1on1ダイアログでは、何かを教えたり、無理にポジティブへ導いたりするのではなく、対話を通して自分の内側にあるものに気づいていく時間を大切にしています。

競技や目標に向かう中で、同じ思考を繰り返していると感じる方は、一度ダイアログを体験してみてください。

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