チーム再構築
8月15日は山鹿市民球場でのイベントを終え、その足でJ3ロアッソ熊本のホーム開幕戦にあたる栃木SC戦の視察で、熊本のえがお健康スタジアムを訪れました。
僕にとっても2年ぶりくらいのえがお健康スタジアム。
昨年はJ2・J3の熾烈な争いの中、J2残留を確信した状況から、まさかの対象チーム・富山の大量得点によりJ3降格となった光景は、ロアッソ周辺の方々には記憶に新しいシーンではないでしょうか。
Jリーグの世界は厳しく、降格と同時に中心選手が移籍していくことも珍しくありません。
ロアッソ熊本も例外ではありませんでした。
10人で戦ったホーム開幕戦
この日の試合は序盤からイエローカードが飛び交い、不穏なムードの中で試合が進みます。
そして試合序盤、大本選手が2枚目のイエローカードで退場。
熊本は試合時間のほとんどを10人で戦うことになります。
試合終了間際には栃木の大曽根選手も2枚目のイエローカードで退場。試合は0−0の引き分けとなりました。
ここで、僕の地元でもある熊本側の視点で振り返ります。
この試合で特徴的だったのは、前半終了間際のシーンです。
熊本はボールを回し始め、後半に備えるようなパス回しを始めたように見えました。
しかしながら、片野坂監督は大きなジェスチャーで、
「あがれ、あがれ!」
と指示を出している。
そして客席からは、ため息が聞こえてきます。
後半、10人しかいない熊本は踏ん張り、試合終了間際には相手も10人になるほどプレッシャーをかけることができていました。
しかしながら、相手のディフェンスに押されて下げてしまうシーンや、シュートチャンスでパスを選択してしまうシーンが繰り返されます。
業を煮やしたサポーターから聞こえてくるのは、ブーイングではなく、ため息でした。
チームの中で起きていること
ここからは僕の仮説になります。
大本選手のパフォーマンスを見ていると、どこか煮え切らないものを感じました。
ご自身に出されたイエローカードに対して何かを感じていたのか、自分自身にも、あるいはチームメイトにも、何かを背負っていたのか。
そういった鬱憤が溜まっていたようにも見えました。
もちろん、これは外から試合を見た僕の仮説に過ぎません。
そして、もうひとつ気になったのが、チーム全体の動きです。
相手に押されると下げてしまう。
シュートを打てる場面でも、パスを選択してしまう。
片野坂監督は前へ行くように大きなジェスチャーで指示を出している。
それでも、なかなか前へ出られない。
J3降格と同時に中心選手が移籍し、新しいチームを再構築している途中であることを考えると、ここにも何かがあるように感じました。
「ミスをしたくない」
「失敗した時にどう見られるか」
「どうしていいかわからない」
そんなさまざまな心理が働いているのかもしれません。
監督が前へ行けと言えば、すぐに前へ行ける。
シュートを打てと言えば、迷わず打てる。
チームの再構築は、そんなに単純なものではないのでしょう。
今日、できていたこと
Jリーグの昇格・降格において、こうしたチームの再編成はどのチームにも起こり得ることです。
中心選手が抜け、新しい選手が入り、新しいチームをつくっていく。
その過程では、できていないことが目につきやすくなります。
しかし、大切なことは「今日できていたこと」に気づいているかということです。
この日のロアッソ熊本は、試合のほとんどを10人で戦いながら、相手にプレッシャーをかけ続けていました。
栃木のスピードとパワーに対してもしっかり守れていた。
そして、シュートを打つことを躊躇するシーンがありながらも、シュートチャンスそのものはつくれている。
できなかったことだけではなく、できていたこともたくさんあります。
大切なのは、それらを忘れないうちに、
「今日、できていたこと」
をたくさん出しておくこと。
試合が終わったあとに、今日できていたことをたくさん出す。
そして、それを習慣にしていく。
「今日、何ができていたのか」
そこに気づくことを繰り返していく。
それが、勝つために相応しいメンタルを手に入れていく早道だと僕は考えています。
一体感を求めない
昨年からロアッソで試合に出ている選手。
チーム編成によってチャンスが訪れた選手。
アマチュアから突然、Jリーグの舞台を経験する選手。
それぞれに置かれている状況は違い、いろんな思いやズレが生じるのは必然です。
それらを無理にコントロールして一体感を求めるのではなく、それぞれが正確なスタートラインに立ち、スモールステップを踏んでいく。
その先でナチュラルに融和した時、またロアッソ熊本にとって素晴らしい時間が訪れるのではないでしょうか。
地震に負けず、がまだせ!熊本!



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