目標の変換能力

 

ゲームプランを立てていても、ステージが上がるほどプラン通りにはいかなくなります。

プロ野球監督経験者の方々のコメントを聞いていても、ほとんどサイン通りにはならないそうです。

そんな時に必要になるのが、目標へ向かうルートを変換する力です。

試合中、プランの変更を強いられた時、

「そうきたか。じゃあこうしよう。」

とナチュラルに変換できるのか。

「えっ、何で?
どうしよう。」

と切羽詰まって変更するのか。

もちろん、どちらが良い結果になるかは分かりません。

しかし、様々な状況がイメージされていると、目の前の現象に対してナチュラルに反応することができます。

余計なエネルギーも使いません。

一方で、イメージとHOW TOが混在していると、現象に対して考えることから始まります。

考える。

止まる。

動かす。

見ている側からすると、数テンポ遅れているように見えるかもしれません。

選択肢が方法論しかないので、

「あれか?」

「こっちか?」

「この場面の正解は何だ?」

と探しているうちに、

絶好球はホームベースを通り過ぎ、

ガラ空きだったゴールコースはディフェンダーに塞がれてしまいます。

切羽詰まることが悪い結果を及ぼすわけではありません。

エイヤーで目をつぶって腕を伸ばしたら決まることもあります。

これもまた反応です。

結果は誰にも分かりません。

ただ、長く競技を見ていると、

一流選手や一流の指導者ほど、

目標を変えることよりも、

目標へ向かう道筋を変えることが上手なように感じます。

野球なら送りバントのつもりが強攻策になることもある。

サッカーならカウンターを狙っていたのにポゼッションへ変わることもある。

人生も同じかもしれません。

プロを目指していた選手が指導者になる。

甲子園を目指していた人が社会人野球で花を咲かせる。

海外へ行く予定だった人が国内で大きな役割を担う。

目標を諦めたのではなく、

その時々の現象に応じて、目標へ向かうルートを変換しているだけなのかもしれません。

そして、その変換をナチュラルに行うためには、

たくさんの方法を知ることよりも、

様々な状況をイメージしておくこと。

目の前の現象に反応できる自分でいること。

そんなことが、ステージが上がるほど求められているように感じます。

ゲームプラン通りに進んでいる時も、そうでない時も、実際にプレーしている本人の中に、

「ハッ」

と驚くような閃きが起こることがあります。

日本人は真面目で勤勉です。

みんなで決めたことを守ることを大切にします。

それ自体は素晴らしいことです。

ただ、勝負は掴みにいくと逃げていくことがあります。

一方で、

「どうぞ。」

と差し出されたような状況が目の前に現れた時、

ゲームプランにはなかったとしても、

「ありがとうございます。」

と反応する。

そんな場面が時々あります。

ゲームプラン以外の動きをしたらどう思われるだろう。

叱られるだろうか。

失敗したらどうしよう。

そんな思いが頭をよぎることもあるでしょう。

しかし、結果は誰にも分かりません。

自分の閃きに乗るのか。

乗らないのか。

それを決めるのは、他人ではなく自分です。

私は、こうした感覚を「勝負感」と呼んでいます。

これは、目標の変換能力のひとつなのかもしれません。

ただ、本当に変換しているのは目標そのものではありません。

目標へ向かうルートです。

目標を変えることと、

目標へ向かうルートを変えることは違います。

目の前の現象に反応し、

時には自分の中に生まれた閃きにも反応しながら、

その時々で最適なルートへ変換していく。

そんな能力が、ステージが上がるほど求められているように感じます。

そして、

大切なのは目標設定能力だけではなく、

目標へ向かうルートを変換する能力。

それが、私のいう「目標の変換能力」なのかもしれません。


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